53.自然は偉大で恐ろしい

更新日:2017年03月27日

撮影:昭和33年7月

うっとおしい雨空の続いた梅雨も、ようやく明けてやれやれと思ったのもつかの間、カンカン照りの夏が一気にやってきた。初期生育の良かった陸稲も、耕土の浅い畑では早くも葉枯れが見えはじめついには枯死する株が目立って多くなってきた。農家では、辛うじて生きている株を、枯死株の少ない畑に移植したり、水をかついで運搬しかん水して一生懸命に手をつくしたが、焼け石に水のありさまで、ついには全滅の畑が続出した。

やっと生き残り出穂を見た陸稲も白穂が多く、この秋の収穫は少なかった。

農家の人々は、自然と共和しながら、自然との戦いを続けて汗を流します。それでも報われないことも…。

この年、狩野川台風が来襲し、伊豆地方に大被害をもたらした。