34.辛苦と汗の結晶

更新日:2017年03月27日

撮影:昭和29年9月

台風は2、3度やってきたがさしたる被害もなくまあまあの稲作。今日は農業委員会の稲作作況調査が行われる日。

「おやじさん、どうだれ今年のできは。」「うん、まあまあだね。」「ころばなかったから、とれそうだな。」「毎年ころばすんでな、今年はチッソをひかえ目にしたんで、このぶんじゃあなんとかいくべえ。」調査員と農家のおやじさんの会話が聞こえる。

やみ米時代のピークは去ったが、まだまだ食糧増産の時代、「今年の供出米はどのくらいになるかなあ、まあとれないよりもいいがな。」おやじさんの独り言が、辛苦を刻んだ額の深いしわ、がっしりしたキセルを持つ手にあんどが浮かぶ。