深良用水

芦ノ湖の水を静岡県側へ流すために、1666年から約4年の歳月をかけ湖尻峠の下に掘られたトンネル。全長1,280メートルにと、出会いに1メートル程の誤差しかなかったと言われ測量技術の精度の高さに驚かされる。この用水は、深良村の名主・大庭源之丞が幕府と小田原藩の許可の下、箱根権現の別当快長の理解と江戸浅草の商人・友野与右衛門の協力を得て完成。かんばつに苦しむ農民を救ったと言われている。尚現在は、用水を使った水力発電も行われている。深良側出口には「深良用水300年記念碑」が建っている。

300年記念碑の写真

深良用水の記念碑

深良用水穴口の写真

下穴口と呼ばれる深良川の隧道の出口

隧道内の動画

平成27年8月24日(月曜日)に水流の速さの調査を行い、撮影しました。水流の速さは、時速約4キロメートルでした。

隧道内のVR動画

市では、一般には立ち入ることのできない深良用水トンネルの内部を360°カメラで撮影、映像公開し、地域へ発信することを目指し、独立行政法人国立高等専門学校機構沼津工業高等専門学校と連携して取り組みを進めてきました。

360°カメラを搭載した小型撮影システムをトンネル内に流し撮影した映像は、VR(バーチャル・リアリティー)技術で体験でき、スマートフォンなどで視聴できます。

深良用水の電子書籍

市および県芦湖水利組合の発行する深良用水に関する書籍の電子版を公開しています。

深良用水通水350周年記念動画

1670年に完成した世界かんがい施設遺産深良用水は、2020年4月25日に通水350周年を迎えました。

静岡県芦湖水利組合(裾野市・長泉町・清水町・御殿場市)では、深良用水のあらましや、深良用水を語るに当たり、注目すべき行事の紹介などを簡潔にまとめた通水350周年記念動画を作成しました。

ダムカードを作成

静岡県芦湖水利組合(裾野市・長泉町・清水町・御殿場市)では、深良用水通水350周年を記念して、深良用水のカード型パンフレットとしてダムカードを作成し、配布を開始しました。

世界かんがい施設遺産へ登録

完成から340年以上が経過し、現在も市内の農業や水力発電に必要な水を流し続けている深良用水。先人の偉業と地域の方々の長年に渡る維持管理の努力が世界に認められ、国際かんがい排水委員会(ICID)が今年度創設したかんがい施設遺産に登録されました。

初年度の登録は5カ国17施設

かんがい施設遺産制度は、平成26年度に創設された制度で、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が登録・表彰するものです。初年度は、日本9、中国4、スリランカ2、タイ1、パキスタン1の5カ国17施設が登録されました。
かんがい施設遺産の対象となるのは、建設から100年以上経過した1,かんがい用ダム 2,貯水施設 3,堰、分水施設 4,水路 5,古い水車などです。これらの施設の中で、10項目ある登録基準のうち一つ以上満たす施設が、かんがい施設遺産に登録されました。深良用水は、(1)かんがい農業の発展、食料増産などに資するもの(2)設計、施工などが当時としては先進的なもの(3)農村の発展、貧困削減に大きく貢献したもの(7)当時としては驚異的で卓越した技術であったものの4つの基準に該当していると考えられます。

(注釈)( )は基準番号。

平成26年9月16日に登録決定

かんがい施設遺産には、全国から23施設の応募がありました。ICID日本国内委員会で審査を行い、平成26年7月15日に10施設を日本の候補としてICIDに申請しました。ICIDで審査が行われ、平成26年9月16日(火曜日)に韓国光州広域市で開催されたICID国際執行理事会で登録が決定しました。平成26年10月23日(木曜日)に農林水産省で登録証の伝達式が行われました。

登録当時、農林水産省は「かんがい施設遺産」の名称を用いていましたが、国際的な制度であることに鑑み、平成27年10月13日「世界かんがい施設遺産」に改名しました。

登録証の写真

世界かんがい施設遺産の登録証

土木学会選奨土木遺産へ登録

令和5年9月25日(月曜日)、深良用水の「用水隧道」が、歴史的土木構造物としての価値を認められ、令和5年度土木学会選奨土木遺産に認定されました。
詳しくは下記の特設ページをご覧ください。

深良用水の歴史

干ばつに苦しんだ深良村

江戸時代のはじめまで深良やその周辺に住む農民たちは、地上に流れる水を十分に確保できず、炊事や洗濯などの生活用水の確保や米作りに苦労していました。水が地下に浸透しやすい土地のため、新たに水田を開拓しても、雨が降らないと干ばつに見舞われ、米が実らず収入はありませんでした。そのため農民は貧しい生活をしいられていました。江戸時代のはじめ、深良村の名主であった大庭源之丞は、芦ノ湖の水を深良に引くことを考え、新田開発の経験がある江戸の商人、友野与右衛門らの協力を得て実行していきました。

合流地点の段差は1メートル

幕府に用水の計画を提出してから3年以上の月日が経った寛文6(1666)年、工事の許可がおり、8月に深良側から工事が始まりました。3カ月後には芦ノ湖側からも始まり、のみを使って掘り進められました。坑道の上には、換気のための息抜き穴が掘られるなど先進的な技術を駆使していました。水路トンネル工事には延べ84万人の作業員が動員され、完成まで3年半かかりました。トンネルの長さは1,280メートル、合流地点での高低差はわずか1メートル程度で、高度な測量技術が用いられたことがわかります。トンネルの平均勾配は1/130で、水利技術も高い水準でした。

合流地点の誤差1メートルの写真

芦ノ湖側と深良川側から掘り進めて出あった合流点

岩を砕いた炎と水 まっすぐ掘るのに提灯を!

大きな硬い岩には、油をかけ、火をつけて岩を熱し、水をかけて砕きやすくして掘り進めました。トンネルは、両側から掘り進められました。すれ違いを防ぐためには、まっすぐ掘っていく技術が必要でした。そこで、1から2メートルごとに提灯をつるし、その提灯が直線上にあることを確かめながら掘り進めたという説があります。

提灯の写真

掘削に使われた行灯

のみの写真

手掘りのノミ

農業用水、産業用水に利用

深良用水は、寛文10(1670)年2月25日に貫通し、4月25日に通水しました。340年以上経過した現在も深良地区をはじめとした市内、長泉町、清水町、御殿場市の約530ヘクタールの農地を潤し地域農業を支えています。また、日本の近代化が進められた明治時代以降には、深良用水の水を利用して水力発電も開始され、産業用水としても利用されています。
平成17年には農林水産省の全国疎水百選にも選ばれている深良用水。深良用水の建設は、先人の技術を駆使し、自然の恵みを利用した歴史的な大事業でした。

深良用水の写真

第三発電所

交通アクセス

所要時間

  • JR岩波駅より徒歩70分(用水穴口まで)
  • 東名裾野インターチェンジから車で20分

駐車場

  • なし

周辺地図

深良用水特別展

深良用水特別展を、市民文化センター2階で行っています。深良地区郷土資料館などから借りた模型や、深良用水の歴史などを紹介しています。

(注釈)詳しくは深良用水特別展のページ(下記リンク参照)をご覧ください。

休館日

月曜日、祝日の翌日 (注釈)市民文化センターの休館日に準ずる

 

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総務課 行政係・契約係・検査係
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更新日:2020年12月01日