深良用水「用水隧道」が土木学会選奨土木遺産に認定されました!

令和5年9月25日(月曜日)、深良用水の「用水隧道」が、歴史的土木構造物としての価値を認められ、令和5年度土木学会選奨土木遺産に認定されました。

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用水隧道の入口から20m付近

全体図

用水隧道の縦断面図(詳細については下記リンク内の「通水350周年記念誌」P118・119をご覧ください)

土木学会選奨土木遺産とは

土木遺産の文化的価値を評価するとともに、先人の土木技術者の功績を讃え、歴史的構造物の保存に資することを目的として、(公社)土木学会が平成12年度に創設した認定制度です。
推薦・一般公募により、全国から年間20件程度が選出されており、静岡県内では、本年度は、深良用水「用水隧道」と、大井川橋梁(下り線)の2件が認定されました(県内で10・11件目)。

深良用水「用水隧道」の概要

名 称/深良用水「用水隧道」(ふからようすい「ようすいずいどう」)

完成年/1670年(寛文10年)

形式等/手掘り山岳隧道 全長約1,280m 高低差約10m

歴史的土木構造物としての価値

深良用水「用水隧道」は、稲作に必要な水の確保が永年にわたり厳しい状況にあった裾野市深良地区に、箱根芦ノ湖の水を農業用水として静岡県側に引き新田開発を行うため、江戸時代に箱根外輪山を芦ノ湖側と静岡県側の両口から人力で掘り貫いた全長約1,280mの用水隧道です。

外輪山はいくつもの火山が重なり、岩質も多種にわたり硬い安山岩系の岩盤も存在しています。その岩盤を避けつつ中央部で貫通したことは、高精度の測量技術と掘削技術を駆使した証とも言えます。また、隧道内には、換気・息抜き坑、煙抜き坑と思われる坑道も設置されています。

測量術については、方位磁石を用いた南蛮流測量術や和算等が用いられたと考えられますが、当時これらの測量術は秘伝とされていたため深良用水の詳しい資料は残っていません。

掘削作業については、ノミ等が用いられ岩盤部分には矢穴工法による割跡を見ることができます。

明治15年(1882)に柳ケ瀬トンネル(全長1352m)が完成するまでの212年間、横穴や竪穴を使用しないで山を貫いているトンネルとして日本最長でした。

柳ケ瀬トンネルの工事はダイナマイトが使われているため、深良用水「用水隧道」は、現在でも、横穴等を使用せずに人力で掘り貫いた素掘りの山岳トンネルとして、日本最長です。

村田悠市長(静岡県芦湖水利組合管理者)のコメント

「世界かんがい施設遺産」登録10周年の節目を来年に控え、新たに歴史的土木構造物としての価値も認められたことは、大変喜ばしいことであり、誇らしく思います。すばらしい郷土の宝の魅力を、改めて広く発信していきたいと思います。

「用水隧道」の開削技術は当時秘伝とされ、詳しい資料が残っていないため、どのように測量され、掘削されたのか、今も解明されていません。この認定が、多くの土木技術者の関心に触れ、開削技術の謎に迫る研究が進むことも期待したいと思います。

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更新日:2024年04月22日