令和7年度施政方針
はじめに
令和7年裾野市議会2月定例会において、当初予算案および諸議案の審議をお願いするにあたり、市政運営に対する所信と、新年度における施政方針を申し上げます。
私が令和4年1月29日に市長に就任してから、早くも3年が経ちました。就任以来、裾野市の魅力を最大限活かし、住んでみたい、働いてみたいと思われるまちの礎を築くことに専念してまいりました。その思いから、市役所組織の方向性を明確にする経営戦略として「市長戦略」を策定し、「人と企業に選ばれるまち」をビジョンに、「日本一市民目線の市役所」をミッションに掲げ、市役所一丸で取り組んでまいりました。
特に令和6年度は、「戦略から実動へ」を掲げ、市長戦略の実現に努めてまいりました。その結果、企業誘致、ふるさと納税による寄附額の大幅な増額、道の駅の基本計画の策定着手、駅西公園の整備、せせらぎ児童公園の拡張、市街化調整区域における地区計画適用の基本的な方針の策定着手、観光戦略の策定、スペシャル・サポート・ルームへの支援員の配置、特別教室へのエアコン設置着手、そして「頼りになる窓口」の実現など数多くの成果を得ることができました。
令和7年度、私の任期の最終年度を迎えます。私のスローガンは「やりきる」です。令和7年度は市長戦略の完成と更なる発展を目指してまいります。
令和7年度予算概要
予算の概要について申し上げます。
一般会計当初予算総額は、当初予算としては「過去最大」となる236億9,200万円で、前年度当初予算と比較して21億3,000万円、9.9%の増額となります。
特別会計は、総額110億1,169万3,000円で、前年度当初予算と比較して9億4,392万1,000円、7.9%の減額となります。
事業会計は、総額25億3,379万8,000円で、前年度当初予算と比較して5,536万1,000円、2.2%の増額となります。
一般会計、特別会計および事業会計を合わせた予算総額は、372億3,749万1,000円で、前年度当初予算と比較して12億4,144万円、3.4%の増額となりました。
このうち、一般会計の歳入に関し、普通交付税については、引き続き交付団体を見込むものの、令和6年度の税収増加に伴い大幅な減少を見込みます。法人市民税をはじめとする市税収入は、堅調な回復を見込み、実質的な一般財源総額は136億円の見込みです。国庫支出金は、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金、児童手当負担金などの増加により増額します。市債も、事業の増加により増額となります。
また、一般会計の歳出では、令和6年度人事院勧告に伴う人件費の増額、調整給付事業費、児童手当事業費、自立支援給付費などの扶助費の増額、基幹業務システム管理事業費、予防事業費などの物件費の増額、エネルギー価格、原材料費などの物価高騰に起因する経費の増額を見込みます。これらの義務的経費に一般財源を配分しつつ、収支の状況を勘案しながら、「市長戦略」を着実に推進するため主要事業などの裁量的経費への配分を行いました。
令和7年度主要事業
令和7年度の主要事業について、市長戦略の柱に沿ってご説明します。
最初に、1つ目の柱である「人口と立地企業数の増加」と、2つ目の柱である「市民の抱える不安の解消」について、あわせてご説明します。
まず、現市政の一丁目一番地である企業誘致を更に進めるため、事業用地の創出に向けた工業用地開発可能性基本調査を実施します。
続いて、市民生活を豊かにする社会基盤整備として、道の駅整備における基本計画の策定、(仮称)御師公園の設計業務および用地買収への着手、せせらぎ児童公園周辺整備事業、裾野駅西土地区画整理事業、岩波駅周辺整備事業、都市計画道路平松深良線整備事業を引き続き着実に推進します。
教育の魅力向上では、東中学校移転に伴う校舎改修実施設計、富岡中学校北校舎の劣化状況調査などハード面に関する施策を実施すると共に、部活動の地域連携、スペシャル・サポート・ルームの増設、学校給食費の負担軽減、最先端のデジタルスキルを学ぶための課題解決能力学習事業、そして、学校再編に向けた富岡第二小学校と富岡第一小学校の児童の交流授業などソフト事業も充実させます。
続いて、3つ目の柱である「市民満足度のさらなる向上」についてです。
令和7年度は、「日本一の子育て環境」を目指して子育て支援策に力を入れてまいります。
まず、子育て世帯の負担軽減のため、高校生までのこども医療費を完全無償化します。更に、富岡・深良保育園をこども園化するための改修工事、こども家庭センターの親子交流スペースの土日開館に向けた環境整備、妊娠期から出産・子育てまで一貫して相談に応じる体制構築、「こども計画」の策定などを行います。
その他、避難所の環境改善のための大型扇風機や携帯トイレなどの更なる充実、高齢者福祉施策の強化、帯状疱疹ワクチン接種費用の補助継続などを実施してまいります。
続いて、4つ目の柱である「財政健全化の実現」に関する主要事業についてです。
令和7年度も公共施設再編をはじめとする長年の課題に真正面から取り組んでまいります。
新美化センターに関しては、3市2町の広域の枠組みでの建設候補地検討に参加するのと並行して、当市単独でも、民間施設や中継施設などの適地調査を行います。
最終処分場に関しては、延命化や将来コスト縮減のため、処分場用地の購入を行います。
新給食センターに関しては、民間活力導入可能性調査を行います。
ヘルシーパーク裾野に関しては、将来の民間活力導入の検討にあたり、修繕費等のコスト算出のための劣化状況調査を実施します。
運動公園に関しては、陸上競技場の公認継続や安全対策のためトラック走路改修の設計業務を実施します。
令和7年度組織改編
5つ目の柱である「組織の生産性向上」に関し、令和7年度の組織改編についてご説明します。
まず、健康福祉部の子育て分野を分離して子育て部を新設します。これにより、少子化対策や子育てニーズに即したきめ細かな支援を強化し、「日本一の子育て環境」の提供を目指してまいります。
また、企業誘致と基盤整備を戦略的に行うため、都市計画課を建設部から市長戦略部に移管します。これにより、企業誘致活動と都市計画との連携を密にし、よりスピード感を持った対応ができるようにします。
その他、市の魅力発信や市長のトップセールスなどを分野横断的な視点で戦略的に実施するための秘書広報課の設置や、個人版と企業版の両方のふるさと納税業務を一元化してプロモーションを強化するため、ふるさと納税強化対策室業務の渉外課への移管などを行います。
財政非常事態宣言解除
これまでの議会では、
- 市長就任後、全事業の棚卸しに始まり、公立園4園のこども園化、せせらぎの湯の廃止、水道庁舎の集約化、入湯税の導入など財政健全化に向けたさまざまな取り組みを実施したこと
- しかし、これ以上短期的な実質単年度収支の均衡に固執すれば、市民サービスの極端な低下は免れず、更には将来投資のチャンスをも失ってしまい、かえって市民にとって大きなマイナスになること
- 必ずしも短期的な収支均衡を図らなくても、財政調整基金が底をつくことなく、公債費が過大になることもなければ、将来にわたって安定的に財政運営を行うことが担保できること
- そこで、財政調整基金残高と実質公債費比率に一定の基準を設け、それを厳守しながら財政運営を行う仕組みを検討していること
について、お話しさせていただきました。
今年度、財政非常事態宣言解除プロジェクトチームを中心に、全庁的に何度も議論を重ね、「今後の財政見通し」と「今後の公共施設等整備更新見通し」の策定が完了しました。
「今後の財政見通し」は、現時点で推計可能な要素をできる限り加味した15年間の財政推計であり、「今後の公共施設等整備更新見通し」は、財政推計の基礎となる公共施設やインフラ施設の15年間の整備更新見通しです。
この2つの見通しが完成したことにより、今後15年間にわたって、財政調整基金残高と実質公債費比率が一定の基準に収まることが確認できました。
振り返れば、裾野市は、製造業などの法人税収に支えられ、全国有数の財政豊かな自治体でした。それが、リーマン・ショックの一時的な影響だけでなく、法人市民税の税制改正などの恒久的な影響もあって、歳入が大きく落ち込み、現在に至ります。
こうした影響は今後も続くため、当市の財政状況が、リーマン・ショックの前のような水準に戻ることはありません。
しかし、市役所が一丸となって創意工夫を凝らし、今回設定した基準を厳守しながら、将来投資と財政健全化を両立することが出来れば、必ず、裾野市の明るい未来を創り上げることができると確信しています。
よって、本日をもって財政非常事態宣言を解除します。
むすびに
財政調整基金残高と実質公債費比率の基準の維持は、不断の取り組みです。
「今後の財政見通し」と「今後の公共施設等整備更新見通し」は、当初予算案の公表に合わせて毎年度更新し、基準を満たすことを継続的に担保してまいります。
これらの取り組みを、今後の行財政運営の基本とすることなどを目的とし、行政改革推進委員会からの意見書を基に、新たに「裾野市行財政運営基本方針」を策定し、公表します。
財政非常事態宣言の解除によって、令和7年度は、将来投資と財政健全化の両立へと、またひとつ裾野市のフェーズが変わります。
市長戦略を「やりきる」こと、そして、更にその先の発展を実現していくことをお誓い申し上げ、私からの施政方針とします。
議員各位のご賛同と共に、市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
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更新日:2025年02月13日