市では、耕作放棄地の抑制や地域資源・地勢を活かした農業収益力のある地域づくりを目指し、地域戦略作物として「キヌア」の試験栽培を2019年度から2023年度までの5年間裾野市須山地内の試験ほ場等で実施しました。
試験ほ場で栽培したキヌア
静大生・農事組合員と収穫したキヌア
取組状況
2019年度
- 公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソーシアム「ゼミ学生等地域貢献推進事業」に採択され、静岡大学農学部・農事組合法人須山東富士農事組合・裾野市の3者による共同研究を開始。
- 試験ほ場の一部に土壌改良剤を添加。
- ネット通販で購入したキヌア種子で種蒔きしたが発芽せず、栽培用のキヌア種子をもらい受け種蒔き。発芽する。
- 収穫量:6.3kg
- 静岡大学農学部・須山東富士農事組合・裾野市の3者によるパートナーシップ協定を締結(協定期間2019年3月5日から2024年3月31日)。
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2020年度
- 2期作に挑戦し、春播き(4月)と夏播き(8月)を実施。
- 栽培方法の確立を目指し、ほ場環境・栽培環境等の違った栽培を実施。
- 作業効率化の試験として、そば用の4条播き機械をJAから借用し、種まきを実施したが、落ちる種の密度が高く発芽不良。
- ペーパーポット育苗後に移植機で定植する試験を実施。
- 春播きキヌアは順調に生育するが収穫期に鳥害にあい全滅。
- 夏播きキヌアは約100kg収穫。
- 「富士山すそのキヌア」として、農事組合が試験販売開始(600円/100g)
- 生産者拡大プロジェクトを立ち上げ、キヌア栽培に興味のある生産者を募り、生産規模拡大を目指す(応募者:11人)。
- キヌアの認知度向上と調理方法を広めるため、キヌアアイデアレシピを募集。(応募数:29点/市公式ウェブサイトへ掲載)
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2021年度
- 連作障害の状況を確認するため、同じ畑で春播き(4月)と夏播き(8月)を実施。
- 作業効率化策として、ペーパーポット育苗から移植を採用。
- 春播きキヌアは約50kg、夏播きキヌアは約100kg収穫。
- 地産地消の取組み推進として、裾野産キヌアを学校給食用に無償提供。
- 作業効率化策 兼 農福連携事業として、石抜き作業を市内福祉事業所へ委託。
- 婦人会によるキヌア料理教室の開催。
- ブランド化を目指し、「すそのキヌア」として販売開始。
- ビール醸造所と連携し、裾野産キヌアを使った「すそのキヌアビール」を販売開始。
- 赤色が鮮やかなキヌアをフラワーアレンジメントに使い、市芸術祭で展示。
- 生産者拡大プロジェクトメンバーが所有する農地でキヌア栽培を行い約25kg収穫。
- 生産者拡大プロジェクト2期募集を実施(応募者:8人)。
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2022年度
- 連作障害や虫被害を確認したため、休ませる畑と栽培する畑を分け、春播き(4月)と夏播き(8月)を実施。
- プロジェクトメンバーによるキヌア栽培の拡大。
- 1期継続者および2期応募者13人で試験栽培を実施。
- プロジェクトメンバーが補助事業を活用し、キヌア洗浄機を制作し、洗浄済みキヌアの販売開始。
- 春播きキヌアは約36kg、夏播きキヌアは約70kg収穫。
- 試験栽培が終了する令和6年度以降、キヌア生産者が栽培を継続するための会議の場として、毎月打合せ会を実施(令和4年12月から)。
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2023年度
- キヌア試験栽培最終年度は、試験ほ場を細かく区切り播種方法・栽培環境・土壌条件を変えた36通りの試験を春播き(4月)に実施。
- 夏播き(8月)も実施したが、試験ほ場は連作障害と虫害によりほぼ収穫なし。
- プロジェクトメンバーによる収穫量が増加し、春播きキヌアは約110kg、夏播きキヌアは約24kg収穫。
- 「全国キヌアサミット2023vol.1」(オンデマンド開催)に参加。
- 山梨県上野原市でキヌア栽培を手掛ける「ゆうきの輪」を視察。
- 裾野市立鈴木図書館教養講座で裾野産キヌアを紹介。
- 裾野市立南小学校5年生の総合学習として、キヌア栽培から調理までの授業への協力。
- 「全国キヌアサミット2023in剣淵町 vol.2」にオンライン参加。
- 第50回裾野市農業まつりに参加、キヌアブースを出店。
- 地産地消の取組みとして、2回目の学校給食へのキヌア無償提供。
- 前年度から継続している打合せ会を合計16回開催し、試験栽培から生産者主体の事業への移行を進めた。
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実績と課題
(1)栽培方法研究事業
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- 5年間で合計9作の試験栽培を実施し、播種および育苗・移植・除草・収穫・乾燥・脱穀・選別(機械・農福連携)・精白の作業工程を構築。
- 当初は標高約500mの須山で試験栽培を実施したが、各生産者のほ場での栽培実績により、標高の低い水窪・平松でも栽培が可能であることを確認。
- 同一ほ場で複数回の栽培を行うと確実に連作障害で出るため、裏作や輪作による畑のローテーションが必要。
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(2)作業効率化研究事業
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- 裾野市のほ場は、狭小で不整形なものも多いため、大型機械を導入した機械化が難しい。
- 種まきは、当初1粒ずつの手播きから開始したが、ほ場環境に応じ播種機や育苗から移植機を導入。効率化を実現。
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(3)販路開拓研究事業
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- 市内2事業者により未加工のキヌアを販売。
- 生産者拡大プロジェクトにより、令和6年3月時点で19人が生産者として活動。生産者による栽培面積の合計は約3,000平方メートル。
- キヌアを原材料として出荷するためには、安定的に一定の生産量を確保する必要がある。
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(4)特産化・ブランド化研究事業
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- 富士山の麓で生産された国産の農薬不使用キヌアであることによる差別化を図る。
- 栄養成分分析結果により裾野市固有の栄養特性が出てきている。
- 裾野産キヌアを使った商品として、5品目が裾野市商工会の「すそのブランド」認定品となった。
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(5)情報発信
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- TV放映/10件、ラジオ放送/8件、新聞掲載/42件。
- 全国キヌアサミットへ裾野市として2回参加。
- キヌアアイデアレシピとして29レシピを市公式ウェブサイトへ掲載。
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裾野産キヌアの販売
裾野産キヌアやキヌアを使った製品が販売されています。
各商品の詳細については、
裾野市商工会「すそのブランド」のページをご覧ください。
すそのブランド
キヌアのアイデアレシピ
2021年2月5日から2021年3月5日の間にキヌアのアイデアレシピ考案者の募集を実施しました。応募のあったレシピをご紹介しています。
キヌアのアイデアレシピのご紹介
更新日:2025年04月16日