地下空洞充てん工事・免震化工事の概要

地下空洞充てん工事の概要

地下空洞の存在

裾野市役所の市庁舎直下の地中には地下空洞が存在しています。この地下空洞は、約1万年前に富士山の噴火により流れ出した溶岩内部にガスが滞留し、溶岩の冷却後、ガスが抜けることで、地下空洞が形成されたと言われております。

地下空洞は、上下に2つの層を成していることが分かっています。
そのうち第1空洞は地上から約8メートル深い位置に存在し、全長約120メートル(一部は庁舎建設当時に埋め立てられています。)、幅は最大約16メートル、高さ最大2.8メートルの広大な空間になっています。
一方、第2空洞については、ボーリング調査によってある程度の推定はできていますが、直接人が入って調査をすることができないため、正確な大きさ・範囲は分かっていません。
市庁舎の建設当初、基礎工事中に地下空洞の存在が判明したため、第1空洞と第2空洞を貫通する鋼管杭を第2空洞の下で支持させて、基礎の補強を行いました。(平成17年度に実施した不同沈下調査の結果、建設後約30年経過しても建物に有害な不同沈下が生じておりません)

以下の3枚の写真は、第1空洞を、3次元レーザースキャナで測量し画像化したものです。市庁舎と地下空洞は、この写真で見る限り、離れているように見えますが、現在の地下1階部分や地下ピットが表示されていないため、実際は、空洞部分と建物部分はかなり近い位置にあります。

以下の写真は第1空洞の様子です。

専門家による基礎地盤(地下空洞)の安全性の評価、地下空洞対策などの提案

市庁舎の耐震補強工事を実施するにあたり、基礎下に存在する地下空洞が耐震補強工法の選定を不確実なものにしていることから、平成20年度に建築工学や地盤工学の専門家などで構成する「基礎構造検討委員会」を設置し、地下空洞を含む基礎地盤の安全性や耐震補強計画の方針に関して検討を行い、地下空洞対策として第1空洞を充てんする方針が提案されました。(この方針に基づき、設計者が地下空洞対策や上部構造補強方法の設計を行いました)

第1空洞の充てん範囲

市庁舎の耐震補強を実施する前に、以下のとおり第1空洞を充てんしました。

空洞を確実に充てんするための工夫

流動性の高い充てん材料(エアミルク)の採用

特長1 流動性に優れ、充填性能が高い
特長2 気泡の浮き上がり、ブリージングがほとんど無い
特長3 耐久性が高い

試験施工の実施

本施工に先立ち、充てんの必要のない空洞部分で試験施工を行い、施工性を確認しました。
目的1 エアミルクの充てん性の確認
目的2 モルタルバックの閉塞性の確認
目的3 エアミルク注入管・エア抜き管の機能性の確認
目的4 電気抵抗センサーの機能性の確認

エアミルク注入管の配置

地下空洞の天井は複雑な形状をしていることから、確実に充てんできるようにするため、複数の注入管を適切に配置してエアミルクを充てんしました。

エア抜き管からのエアミルクの吐出確認

空洞天井にエア抜き管を設置し、エアミルクが空洞天井まで充てん後、エア抜き管からエアミルクが吐出されることで、空洞天井までエアミルクが充てんされたと判断しています。

流量計によるエアミルク充てん量の管理

流量計により打設量を計測し、計画数量以上のエアミルクを充てんしたことを確認しました。

地下1階マンホールからの目視

市庁舎の地下1階には第1空洞へ下りるための既存のマンホールがありましたので、エアミルク充てん作業中に、このマンホールから第1空洞をのぞき、エアミルクが充てんされていることを確認をしました。

エアミルクの外部流出を防止するための工夫

モルタルバッグによる隔壁の設置

モルタルバッグ工法(注釈)による隔壁で充てん範囲を間仕切り、充てんしたエアミルクが流出しないようにしました。
(注釈)モルタルバッグ工法・・・ポリエステル製のシート(モルタルバッグ)を空洞壁にアンカーして固定し、バッグ中にエアミルクを注入して隔壁を構築する工法。複雑な形状の空洞でも対応可能。

鋼管杭まわりの空隙の閉塞

建設当初に基礎の補強用として打設された鋼管杭まわりの空隙を発砲ウレタンにより閉塞し、エアミルクが第2空洞などへ流出しないようにしました。

空洞床面へのエアミルク先行打設

第1空洞内の溶岩には多数の亀裂があるため、空洞内にエアミルクを数cm先行打設して床面の亀裂を閉塞してから、充てん作業を行いました。

近隣の川での水質検査の実施

充てんしたエアミルクが市庁舎の近隣の川に流れ出ていないかを確認するため、充てん作業前から作業後3カ月経過の間まで水質検査を実施し、水質に異常がないことを確認しました。

免震化工事の概要

免震化工事の概要

地下1階の柱頭部(柱の上部)55か所に免震アイソレータと呼ばれる免震装置(積層ゴム)を挟んで設置することで市庁舎の免震化を図っています。
大地震時はこの免震アイソレータが横に大きく、ゆっくりとスライドして変形することで市庁舎の上部構造(1階~5階)にはたらく地震力を補強前の約4分の1に減らすことができます。さらに、オイルダンパーと呼ばれる減衰装置を5基設置し、建物の揺れを速やかに抑えるようにしています。
この免震化工事によって、裾野市で将来発生すると考えられる最大級の地震に対しても、構造部材や非構造部材(天井・窓ガラスなど)をほぼ無被害に抑えることができ、さらに、書棚や机上のパソコンなどの転倒・損傷も防止できることから、大規模地震が発生した直後でも災害拠点としての機能を継続することが可能になります。

免震化工事の手順

STEP-1(解体工程)

1. 外周山留めの打設
2. 1次掘削
3. 地下1階 柱周囲の既存壁切断・床スラブ解体

STEP-2(補強工程)

4. 基礎梁の補強(PC鋼棒緊張)・基礎柱の補強
5. 地下1階 床スラブの復旧
6. 下柱の補強 ドライエリア擁壁の構築
7. 1階梁(PC鋼棒緊張)・上柱(キャピタル)の補強
8. 仮設(水平拘束用)鉄骨ブレースなどの設置

STEP-3(切断工程)

9. キャピタル部に仮受けジャッキの設置
10. ワイヤーソーによる既存柱の切断

STEP-4(免震化工程)

11. 下基礎の配筋、コンクリートの打設
12. 免震アイソレータの設置
13. 免震プレロード(高層部分の柱のみ)
14. 上基礎の配筋、コンクリートの打設

STEP-5(除荷工程)

15. 除荷(ジャッキダウン)
16. オイルダンパーの設置
17. 仮設(水平拘束用)鉄骨ブレースなどの撤去 免震化完了
18. 壁復旧工事(EXP.J含む)
19. スライドスラブの構築

この記事に関するお問い合わせ先

行政課 行政係・契約係・検査係
〒410-1192 静岡県裾野市佐野1059 裾野市役所3階
電話:055-995-1807
ファクス:055-993-3607

行政課へのお問い合わせ、意見、質問

更新日:2017年03月27日